それは終戦記念日である8月15日の夜中。
シャワーを浴びて身体を拭いてると
《 ピンポーン 》
まさかのインターホン。
時間は23:30。
インターホンのモニター画面を見ると、二十歳くらいの細身で金髪の青年がこちらを真っ直ぐに見ている。
「ボソボソ…電気を…ボソボソボソボソ。助けて下さい…お願いします。」
…
…
…
…いやいやいやいや、
めっちゃ怖いwww
ちなみに今住んでいるアパートの構造を説明すると2階建で上4室・下4室の8部屋で、
外のインターホンと郵便受けが固まって全部集まっているタイプである。
なので全部のインターホンを押して全員に話しかけている可能性も………と思った、
が、青年は確実に俺の画面に、俺に、、、話しかけていた。
ボソボソ喋り終わると画面がオフになってしまい消えてしまった。
…
…
…
《 ピンポーン 》
2回目のインターホンが鳴った。
青年はまた喋り出した。
「105の中山(仮名)と申します。5月の電気料金を払い忘れてしまい電気を止められてしまいました。
今 iPhone の充電が切れています。仕事の連絡やアラームとか全部 iPhone でやっているため困っています。
明日の仕事に行くまでの充電分、40〜50%でいいので充電させてください。
助けてください。お願いします。」
( ͡° ͜ʖ ͡°)
やばい奴ではなさそうだと思い助けてあげることにした。
びちょびちょで全裸だったのでよく拭いて服を着て外に出た。
2〜3分少々時間がかかったせいか、青年はうつむいていて待っていた。
「ありがとうございます!」
青年は嬉々とした表情で俺に全てを話してくれた。
どうやら外から見たとき8部屋中、202(俺の部屋)だけ明かりがついていたらしい。
そして、とにかく10%でもいいから iPhone を復活させてほしいみたいだ。
話すとどこか抜けている感じはあるが好青年だ。
約30分後、部屋にノックしにいく約束をして中山くん(仮名)の iPhone を受け取り部屋に戻った。
俺の iPhone 以上に画面がバキバキの中山くんの iPhone を充電している間、
俺は何かわからない親切心・母性が目覚め、いろいろ調べてあげることにした。
電気復旧方法・アパートの電気会社の電話番号・iPhone の充電を長持ちさせる方法など、
すべてメモしておいた。
小さい懐中電灯もあったので貸してあげようと思ったが
iPhone のライトの1/10くらいの光り具合で、あまりにも弱過ぎ他のでやめた。
そんなこんなしていると30分はあっという間に過ぎ、
メモと30%充電した iPhone を持って中山くんの部屋に行くことにした。
部屋を出て階段を降りてる最中にちょうど中山くんがアパートの入り口にいた。
「あ!ありがとうございます!」
どうやらコンビニに行って帰ってきたところみたいだ。
手には『ソフラン(柔軟剤)』を持っていた。
中山くんに iPhone と調べた内容を伝えメモを渡した。
すると中山くんは
「ホントにありがとうございます!調べたりもしてくれて本当にありがとうございます!
あの…何か困ったことがあったら105の中山を使ってください!」
「いえいえ、電気早く復旧するといいですね
(お、おぅ…いや何か困っても、すまん。お前は多分頼らないぞ、中山よ!)
それじゃ…」
「あ!待ってください!コレ」
すると中山くんは手に持っていたソフランを俺に差し出した。
…
…
…
えっ…まさかのソフラン…
( ゚д゚)
お返しに柔軟剤…
お歳暮?
( ゚д゚)
丁重にお断りして俺は部屋に戻った。
そのお気遣いだけいただくぞ、中山よ…
あれから3〜4日経つが彼の部屋の明かりがついてるとこを一度も見ていない。
あの終戦記念日の夜の出来事は夢だったのか現実だったのか…
ひとつ言えることは中山よ!
柔軟剤を買うなら
簡易用の充電器を買えばよかったのではないか、中山よ!
明日から5日間お休みになります。
お店もブログも25日(土曜)から再開いたしますので、よろしくお願いします。
ホラー好きのきっとでした?